研究紹介

界面現象の操作で新しい結晶成長法を切り拓く

  高度情報化社会を支えるエレクトロニクス、オプトエレクトロニクスの分野で そのキーとなる無機機能材料の発展は、関連する単結晶の特質を固体無機化学の基礎と応用の立場から いかに理解してきたかに大きく依存してきたと言えます。
  本研究室は、結晶成長過程を母相-生成相の自由エネルギーの差と成長界面のエネルギー状態の関係から 理解することを基本とし、主として融液や溶液からの結晶成長を取り扱っています。
  特に、電場、磁場、あるいは応力場といった“外場”の界面への印加、また、融液に対し熱処理、 あるいは攪拌混合などの機械的操作により、結晶及び融液の化学ポテンシャルの操作を試みます。
  こうして、両相間の自由エネルギー関係を調整し、界面ダイナミックスを人為的に操作するといった 全く新しい手法の結晶成長法を研究開発しています。具体的には、界面近傍で非調和溶融を調和溶融に変えたり、 また、結晶の対称性に手を加えたりします。
  このようにミクロスコピックなアプローチを組み合わせることで、新素材誕生の可能性が大きく広がり、 21世紀高度情報化社会に必要な光学、圧電、磁性等の分野で有用な新結晶、 あるいは、従来育成が困難とされていた結晶の創製を可能にしていきます。

新しい結晶成長法の確立を目指して
  • 外場や外力による自由エネルギー変化を利用した相安定関係操作の研究
  • 界面外場による核形成および結晶成長ダイナミックスの操作の研究
  • シリコン単結晶育成における複雑系不純物の複合再分布の研究
に取り組んでいます。

研究戦略

結晶成長で何を見るか?
新しいアプローチ

新しい結晶法と具体的テーマ


  1. 融液と結晶の自由エネルギー関係を制御
    1. 過冷却度の操作→核形成と結晶成長の駆動力を操作
    2. 不安定成長→安定成長
    3. 育成結晶物性の改善
    4. 化学量論組成と調和融解点の一致
  2. 界面に電場、磁場、応力を印加した結晶成長
    1. 非コングルエント物質のコングルエント化
    2. 核形成速度のコントロール
    3. 周期双晶構造を導入した常誘電体ボレート結晶の非線形光学応用
    4. 異なる組成、物性を持つ複合構造の構築
    5. 結晶成長における内部電場の働き
    6. タンパク質核形成速度の操作
    7. 交流電場印加によるタンパク質結晶の多形制御
  3. 複雑系不純物の複合再分布
    1. Si結晶成長における多元不純物の固液間複合分配

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