高度情報化社会を支えるエレクトロニクス、オプトエレクトロニクスの分野で そのキーとなる無機機能材料の発展は、関連する単結晶の特質を固体無機化学の基礎と応用の立場から いかに理解してきたかに大きく依存してきたと言えます。
本研究室は、結晶成長過程を母相-生成相の自由エネルギーの差と成長界面のエネルギー状態の関係から 理解することを基本とし、主として融液や溶液からの結晶成長を取り扱っています。
特に、電場、磁場、あるいは応力場といった外場の界面への印加、また、融液に対し熱処理、 あるいは攪拌混合などの機械的操作により、結晶及び融液の化学ポテンシャルの操作を試みます。
こうして、両相間の自由エネルギー関係を調整し、界面ダイナミックスを人為的に操作するといった 全く新しい手法の結晶成長法を研究開発しています。具体的には、界面近傍で非調和溶融を調和溶融に変えたり、 また、結晶の対称性に手を加えたりします。
このようにミクロスコピックなアプローチを組み合わせることで、新素材誕生の可能性が大きく広がり、 21世紀高度情報化社会に必要な光学、圧電、磁性等の分野で有用な新結晶、 あるいは、従来育成が困難とされていた結晶の創製を可能にしていきます。
新しい結晶成長法の確立を目指して
- 外場や外力による自由エネルギー変化を利用した相安定関係操作の研究
- 界面外場による核形成および結晶成長ダイナミックスの操作の研究
- シリコン単結晶育成における複雑系不純物の複合再分布の研究