新しい結晶法と具体的テーマ

材料探索のもう一つの見方の一例


左下図においてβ相が非コングルエント(incongruency)物質であるとは、組成で、α相と融液の共通接線 (α相が融液と共存している状態)の自由エネルギーが、融液及びβ相の自由エネルギーより小さくなる温度、 Tが存在することである。これは、また、融液と共存するα相のA成分に関する化学ポテンシャル、 (≈純粋なα相の化学ポテンシャル、)が、 におけるA成分に関する 融液の化学ポテンシャル、及びβ相の化学ポテンシャル、 より小さくなる温度、Tが存在することと同義である。従って、 もし、外部電場を印加することにより、β相の融点以上のすべての温度で、 もしくはが、 (≈) より小さくなれば、β相はコングルエント物質となる(右下図)。こうした変換は、α相の誘電率の A成分に関する変化が正であるような場合に期待できる。






ランガサイト近傍の初晶相の分布
(a) 電場が無い場合: 赤い↓はランガサイト(LGS)の化学量論組成を示す。その下に存在するランガサイトの 初晶域とは分離しており、ランガサイトが通常、非コングルエント性であることを示す。
(b) 電場 (E=600V/cm) が存在する場合:電場により、初晶相の分布が変わり、ランガサイトの初晶域が La2O3に富む方向に移動する。その結果、ランガサイトの初晶域は、化学量論組成を 含み、ランガサイトが電場印加によりコングルエント化したことがわかる。